古くなった便器を新しくしたい、あるいは節水型の便器に替えたいと考えた時、「自分で交換できないだろうか?」とDIYを検討する方もいるでしょう。確かに、DIYで便器を交換することには、いくつかの魅力があります。最大のメリットは、やはり費用の削減です。専門業者に依頼すると、便器本体の価格に加えて、数万円以上の工事費がかかりますが、DIYであれば工事費がまるまる節約できます。また、自分の手で家の設備を整える達成感や満足感も、DIYならではの魅力と言えるでしょう。しかし、便器交換のDIYは、他の水回り作業と比較しても難易度が高く、いくつかの重要な注意点とリスクが伴います。まず、便器は重量があり、陶器製で割れやすいため、取り扱いに細心の注意が必要です。一人での作業は困難な場合が多く、搬出入や設置には十分なスペースと人手が必要となります。また、水道管との接続(給水管、止水栓)や、排水管との接続(床フランジ、排水ソケット)を正確に行う必要があります。接続が不十分だと、深刻な水漏れを引き起こす可能性があります。特に排水管の接続ミスは、床下への漏水や、下水の臭いが室内に漏れる原因となり、建物自体に損害を与えたり、衛生上の問題を引き起こしたりするリスクがあります。さらに、既存の便器の排水方式(床排水か壁排水か)や排水芯(壁から排水管中心までの距離)を正確に測定し、適合する新しい便器を選ぶ必要があります。これを間違えると、そもそも新しい便器が設置できなかったり、追加の配管工事が必要になったりします。作業には、モンキーレンチやスパナ、シールテープ、水平器など、専門的な工具も必要となります。これらのリスクを十分に理解し、必要な知識、技術、工具、そして時間と体力に自信がある場合に限り、DIYに挑戦する価値があると言えるでしょう。少しでも不安がある場合は、無理せずプロに依頼するのが賢明な判断です。

投稿者 H9QNoPdCBUYJ