便器交換のDIYは、費用を抑えられる魅力がある一方、失敗すると大きなトラブルにつながるリスクも伴います。ここでは、DIYで起こりがちな失敗例とその原因、そしてそれを防ぐための対策について解説します。最も多く、そして深刻な失敗が「水漏れ」です。原因としては、「給水管接続部のシールテープの巻き方不備」や「ナットの締め付け不足・締めすぎ」、「パッキンの入れ忘れ・ズレ」、「排水管との接続不良(床フランジや排水ソケットの取り付けミス)」などが挙げられます。給水管からの水漏れは床を濡らす程度で済みますが、排水管からの漏水は、床下への浸水や悪臭の原因となり、建物へのダメージや階下への被害につながる可能性があります。対策としては、シールテープの正しい巻き方(ネジの進行方向と逆に、適切な回数を巻く)を習得すること、ナットを適切なトルクで締め付けること(締めすぎは破損の原因)、パッキンの状態や位置を確実に確認すること、そして排水管との接続は特に慎重に行うことが重要です。次に多いのが、「新しい便器が設置できない」という失敗です。これは主に「排水芯(排水位置)の測定ミス」や、「排水方式(床排水/壁排水)の見間違い」が原因です。購入前に正確な測定と確認を怠ったために、いざ設置しようとしたら配管の位置が合わない、という事態に陥ります。対策は、とにかく事前の正確な測定と確認を徹底することです。自信がない場合は、業者に下見だけ依頼するという方法もあります。また、「便器の破損」も起こりうる失敗です。便器は陶器製で重く、衝撃に弱いため、搬入・搬出時や設置作業中に誤ってぶつけたり、落としたりして、ひびが入ったり割れたりすることがあります。対策としては、必ず二人以上で慎重に作業を行うこと、作業スペースを十分に確保し、周囲の障害物を片付けておくこと、そして無理な力を加えないことです。「床や壁の損傷」も注意が必要です。古い便器を撤去する際や、工具を使う際に、床材や壁紙を傷つけてしまうことがあります。対策は、作業前に床や壁をビニールシートや段ボールでしっかりと養生することです。これらの失敗は、いずれも事前の準備不足や知識・技術不足、作業の油断から起こることが多いです。DIYに挑戦する際は、リスクを十分に理解し、慎重すぎるくらいに準備と確認を行うことが、失敗を防ぐための最大のポイントと言えるでしょう。