お湯と水の二つのハンドルが並んだ「ツーハンドル混合水栓」は、かつて日本の住宅で最も広く普及していた、蛇口の基本形とも言えるタイプです。その最大のメリットは、「構造のシンプルさ」と、それに伴う「価格の安さ」にあります。内部構造は、それぞれのハンドルがお湯と水の配管に直結しており、ハンドルを回すことで内部の「コマパッキン(ケレップ)」というゴム製の部品が上下し、水の通り道を開閉するという非常に単純な仕組みです。このシンプルさゆえに、故障が少なく、万が一水漏れが起きても、原因のほとんどがコマパッキンの劣化であるため、部品交換などの修理が比較的容易で、DIYで対応しやすいという利点があります。本体価格も、他の混合水栓に比べて安価な製品が多いです。一方で、現代のライフスタイルにおいては、その「操作性の不便さ」が大きなデメリットとなります。お湯と水の二つのハンドルを両手で回しながら、ちょうど良い温度と水量に調整する必要があるため、片手がふさがっていることが多いキッチン作業などでは、非常に手間がかかります。また、毎回目分量で温度を調整するため、水を出すたびに温度が変わりやすく、無駄な水やお湯を消費してしまう「省エネ性の低さ」も指摘されています。デザイン面では、どこか懐かしいレトロな雰囲気を持つため、アンティーク調やカントリー調のインテリアに合わせたいという特定のニーズにはマッチしますが、モダンな空間には合わせにくいかもしれません。現在では、その利便性の高さからシングルレバー混合水栓に主流の座を譲っていますが、その構造の単純さと堅牢さから、今なお一部の賃貸物件や特定のデザインを求める場所で採用され続けています。