2026年2月
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「少しずつ流れる」を放置する本当の恐ろしさ
トイレの水が「少しずつ流れる」という症状は、かろうじて使用できるため、つい修理を後回しにしてしまいがちです。しかし、この一見軽度に見えるトラブルを放置することは、衛生面、経済面、そして建物自体の安全性において、深刻な被害を引き起こす時限爆弾を抱えているのと同じ状態なのです。まず、最も直接的で想像しやすいリスクが、「汚水の逆流」です。水の通り道が狭くなっている状態で、いつも通りにトイレットペーパーや排泄物を流し続ければ、いずれ排水管は完全に閉塞します。その状態で水を流せば、行き場を失った汚水は便器から溢れ出し、トイレの床一面が汚水浸しになるという、衛生的にも精神的にも最悪の事態を招きます。次に、衛生面での問題として、「悪臭の発生」が挙げられます。排水管の途中で汚物が滞留し、腐敗することで、強烈な下水の臭いが発生し、排水口を通じて室内に充満します。これは、快適な生活環境を著しく損なうだけでなく、雑菌の繁殖の原因ともなります。さらに、目に見えない場所で進行するのが、「排水管へのダメージ」です。詰まりによって常に水が溜まっている状態や、無理に水を流そうとして管内に過度な圧力がかかることは、配管の接続部分(継手)を緩ませたり、老朽化した配管に亀裂を生じさせたりする原因となります。もし、床下で排水管が破損すれば、漏れ出した汚水が建物の土台や床下の木材を腐食させ、シロアリの発生や、建物の強度低下といった、修復に莫大な費用がかかる深刻な事態に発展しかねません。特に、マンションなどの集合住宅では、この漏水が階下の部屋にまで及び、高額な損害賠償問題に至るケースも後を絶ちません。たかがトイレの詰まりと侮らず、早期に対処することが、これらの二次被害を防ぐための唯一の方法なのです。