便器交換のDIYにおいて、多くの人がつまずきやすい、あるいは特に慎重さが求められるのが、「排水方式の確認と排水芯(排水位置)の測定」、そして「床フランジの処理」です。これらの工程は、便器が正しく設置できるか、そして水漏れなく安全に使用できるかを左右する重要なポイントとなります。まず、「排水方式と排水芯(排水位置)の確認」です。トイレの排水管がどこにつながっているかによって、便器の種類が変わります。床に排水管が埋まっている「床排水」と、壁に排水管が出ている「壁排水」の二種類があります。これを見間違えると、購入した便器が設置できません。床排水の場合は、さらに「排水芯距離」の測定が必要です。これは、便器後方の壁から、床の排水管の中心までの距離を測ります。一般的な規格(例:200mm)もありますが、古いトイレや設置状況によっては異なる場合が多いため、必ず自分で実測する必要があります。壁との間に巾木などがある場合は、その厚みも考慮に入れる必要があります。壁排水の場合は、床から排水管の中心までの高さ(排水高)を測定します。これらの測定が不正確だと、新しい便器が設置できなかったり、接続のために追加の部品や工事が必要になったりします。次に、「床フランジの処理」です。床排水の場合、古い便器を撤去すると、床に排水管の穴とその周りに「床フランジ」という円盤状の部品が見えます。これは、便器と排水管を接続し、固定するための重要な部品です。古い床フランジが劣化していたり、新しい便器の仕様に合わなかったりする場合は、交換が必要になります。古いフランジの取り外しは、床材に固定されているネジを外し、場合によっては接着剤を剥がす作業が必要です。排水管周りの汚れを取り除き、新しいフランジを水平に、排水管の中心とボルト穴の位置を正確に合わせて設置します。接着剤を使用する場合は、隙間なく塗布し、しっかりと固定します。この床フランジの設置が不適切だと、便器がぐらついたり、排水時に下水が漏れたり、臭いが上がってきたりする原因となります。特に、排水管との接続部分の密閉性は非常に重要です。これらの工程は、便器交換DIYの中でも特に専門的な知識と正確性が求められます。少しでも自信がない場合は、無理をせずプロに相談するか、これらの部分だけでも業者に依頼するという選択肢も検討しましょう。