洗濯機に水が溜まらないトラブルの中で、少し厄介なのが「給水されているのに、同時に排水もされてしまっている」というケースです。蛇口からは水が出ている音がするし、給水ホースにも問題はなさそうなのに、いつまで経っても洗濯槽に水が溜まっていかない。この場合、洗濯機の「排水弁」に異常が発生している可能性が非常に高いです。排水弁は、洗濯槽の底にあり、洗濯やすすぎの際には閉じて水を溜め、排水時には開いて水を排出するという重要な役割を担っています。この排水弁が何らかの原因で完全に閉じなくなってしまうと、給水されたそばから水が排水ホースへと流れ出てしまい、結果として洗濯槽に水が溜まらなくなるのです。排水弁が閉じなくなる原因としては、まず「異物の挟まり込み」が考えられます。洗濯物と一緒に紛れ込んだ小銭やボタン、ヘアピン、あるいは洗濯ネットの破片などが、排水弁の隙間に挟まってしまうと、弁が完全に閉じなくなります。特に、ポケットの中身を確認せずに洗濯してしまった場合に起こりやすいトラブルです。次に考えられるのが、「排水弁自体の劣化や故障」です。排水弁には、水の流れを止めるためのゴム製のパッキンが使われていますが、これが経年劣化で変形したり、破損したりすると、密閉性が失われて水漏れ(排水)を引き起こします。また、排水弁を開閉させるためのモーターやワイヤー、あるいはそれを制御する電気系統に不具合が生じ、弁が閉まらなくなることもあります。排水弁の異常が疑われる場合、まず電源プラグを抜いてから、可能であれば洗濯槽の底にある排水口周りに異物が挟まっていないかを確認してみましょう。ただし、内部の部品に触れるのは危険な場合もあるため、無理は禁物です。異物が見当たらない場合や、取り除いても状況が改善しない場合は、排水弁の部品劣化や機構的な故障が考えられます。この場合、部品の交換や修理が必要となるため、専門的な知識と技術が不可欠です。排水弁の異常は、利用者自身での修理が難しい箇所の一つです。給水と排水が同時に行われているような症状が見られたら、早めにメーカーや専門の修理業者に相談し、点検・修理を依頼することをお勧めします。
給水中なのに排水洗濯機の排水弁異常