マンションに住んでいると、自分の部屋の排水口はきれいにしているはずなのに、どこからともなく下水の臭いが漂ってくる、という経験をすることがあります。特に、下の階や隣の部屋から臭いが上がってきているように感じる場合、その原因は自分の部屋だけにあるとは限りません。マンションのような集合住宅では、各住戸の排水管は最終的に建物全体の共有の排水管(縦管など)に接続されています。そのため、共有部分の排水管や、他の住戸の排水設備に問題があると、それが臭いとなって他の部屋に影響を及ぼすことがあるのです。考えられる原因の一つは、共有排水管の詰まりや汚れです。長年の使用により、共有の縦管などに汚れが蓄積し、臭いが発生している場合があります。また、排水管の通気設備(通気管)に不具合があると、排水時の気圧調整がうまくいかず、各住戸の排水トラップの封水が破られやすくなり、下水の臭いが上がりやすくなることもあります。他の住戸の排水トラップが封水切れを起こしている可能性も考えられます。例えば、空き家になっている部屋や、長期間使用されていない水回りの封水が蒸発し、そこから発生した臭いが配管を通じて自分の部屋まで上がってくるケースです。また、下の階の住人がリフォームなどを行った際に、排水管の接続が不適切だったり、排水トラップの設置に問題があったりした場合、それが原因で臭いが発生し、上の階に影響が出ることも稀にあります。さらに、建物の構造的な問題、例えば壁や床の隙間、配管を通すための貫通部分の密閉が不十分であると、他の場所で発生した臭いが漏れ伝わってくることも考えられます。マンションで原因不明の下水臭に悩まされた場合、まずは自分の部屋の排水トラップの封水確認や掃除を行いますが、それでも改善しない場合は、管理会社や管理組合に相談することが重要です。状況を説明し、他の住戸でも同様の問題が起きていないか、共有部分の点検が必要かどうかなどを確認してもらいましょう。原因によっては、管理組合の負担で調査や修繕が行われることもあります。自己判断で業者を手配する前に、まずは管理会社や管理組合に連絡し、連携して原因究明にあたることが、スムーズな解決への道筋となります。

投稿者 H9QNoPdCBUYJ